スペース★ソフビ団

ウララソフビ発売直前!クリエーターズインタビュー

昨年発表された「うららソフビ」制作のニュースから半年。いよいよ2月14日に発売となります。これを記念して、今回は「うららソフビ」の原型を担当してくださった谷口亮さんの活動の拠点である福岡博多に、スペースソフビ団のデザイナー宮部と、ソフビ団特別顧問であるTOUMA氏が訪問しました。今回集まった3名のデザイナーによるインタビューをお届けします。

宮部由美子(以下、宮部)

「スペースソフビ団」団員、デザイナー。ゲーム「スペースチャンネル5」開発当時のキャラクターデザイナー。

谷口 亮氏(以下、谷口)

キャラクターデザイナー。東京五輪2020オリンピック公式キャラデザで一躍時の人に。今回の「うららソフビ」原型を担当。

TOUMA氏(以下、TOUMA)

キャラクターデザイナー。世界中で作品を発表しており、ソフビ業界ではレジェンド的存在、ソフビ団の顧問もつとめる。

宮部
「本日は谷口亮さんにお会いしに福岡までご挨拶に来ました。また、ソフビ団の顧問でもあり、日頃からソフビ作りのアドバイスを下さっているクリエイターのTOUMAさんにもご同行していただくことが出来ました。お二方、どうぞよろしくお願いします。」
2022年、かわいい「谷口うらら」誕生
宮部
「スペースチャンネル5のうららと言えば、ファンの皆様にとっては、キリッとした、かっこいいキャラクターであるというのが一般的な見方だと思います。今回のソフビになったうららを見てみますと、従来のイメージを一新するような、とっても可愛い造形にデフォルメされています。具体的に言うと、可愛い顔はもちろんなのですが、立ち方が少し内股になっているなど、新しい愛くるしさが追加されたと思います。」
谷口
「ぼくの中では、キリッとさせた方なんですけど(笑)。最初に取り掛かったときにスケッチしていたものはもっと自分風の可愛いデザインだったんです。ですが、作っている過程で「これはうららじゃないのかな?」と疑問が湧いてきて、調整しましたね。」
宮部
「その時のスケッチは…」
谷口
「もう無いです!残念。」
宮部
「TOUMAさんにお聞きします。実は、うららの原型を谷口さんにお願いしたら?とご提案下さったのはTOUMAさんなんですよね。スペースソフビ団を「モロ星人ミニソフビ」の開発当初から見て頂いていた経緯で、なぜ谷口さんを推薦されましたか?つまり、原型を作れる作家さんが他にも沢山いる中でです。」
TOUMA
「谷口さんとは作家同士として長い仲なんです。その際、海外イベントに一緒に遠征に行く時にちょっとしたアドバイスをすると、難なくこなす、ということが続きました。行った国のお客様の嗜好に合わせて作品を自由に変化させられるんです。それで”この人、やるな!”と思って。作った作品の人気も凄まじいしね。また、作風のタッチがやわらかく、女の子キャラも非常に上手に作るので、”うららと組み合わせたら面白いんじゃないかな?”と考えました。前述のように、ターゲットに向けて落とし込む技術を持っているので、スペースチャンネル5の世界観にもアレンジしてくれると思いました。彼はデフォルメがとにかく上手なんです。」
デフォルメの難しさ
宮部
「そういった経緯があるんですね。デフォルメのお話しが出ましたが、そこについて少し言及して良いですか。実は私、谷口さんから粘土の状態の原型をお預かりしていた時に、一部破損させてしまったんです。」
谷口
「そんな事もありましたね!」
宮部
「本来あってはならない事です。そのアクシデントの際、谷口さんと画面越しに会話をしながら元通りに修正をしたのですが、改めて隅々までうららの顔や、小さなあごや、繊細なこだわりがあちこちに詰まっていることに気づきました。例えば、ここでほっぺたの稜線が切り替わっている、などの”説明”が驚くほど丁寧にされているんですよ。谷口さんの思考の後を図らずも辿るという経験をしました。ただつるっとして可愛い、という事では無いのです。」
宮部
「TOUMAさんの作品にも共通しているのですが、ゲームで言うとローポリゴンの手数でハイポリと同等の印象の造形が出来るといった高度なデッサン力の話だと思うんです。」
TOUMA
「そうですね。基礎のない人にデフォルメは出来ません。基礎のない造形物はパッと見て一目瞭然なんです。とっても技術の要求される仕事ですよ。市販されているフィギュアなどを見ても、可愛いけれど骨格の事を考えていないなあ、などはすぐに解ってしまいます。」
宮部
「とてもシビアですね。谷口さんに原型をお任せしたのには、そういった技術面も頭に浮かびました。安心して一切をお任せできる方と知っていたので、原型の途中過程には口を出したりしませんでした。」
TOUMA
「うん、わかる。それとね、お互いに人となりを知っていたというのも大きかったんじゃない?」
谷口
「それはあります。うららの原型を引き受けたのは、”おもしろそうだから”という理由もありますが、艦長(※宮部の事)を元々知っていたというのは大きいですね。もしもお互いの繋がりが無かった場合、コミュニケーションが上手く取れるかわからないですから、また違っていたかもしれません。」
うららソフビ制作のこだわり
宮部
「もう少し制作についてポイントなどお聞きできますか?」
谷口
「今回はフォルムを重視しました。どういう事かといいますと、パーツ数が多いんです。例えばですけれど、ケチって手と胴体を1パーツにする、安価に済ませる、など妥協する方法もあるのですが、今回はそれはしなかった。なぜなら、うららはスペチャンの主人公ですからね!表現したい形を優先させたかったんです。」
TOUMA
「(ソフビを見ながら)分割方法も凝ってますね、、、。これは、同業者が見ても、うなってしまいますよ。首と胴体のつなげかたの構造とか。特殊な組み方をしているので、うららは首を自由に回してポーズをつけられますね。」
宮部
「もし自分が原型を作っていたら考え付かなかった構造です。谷口さんにお願いして本当に良かったです。」
宮部
「谷口さん、うららを作っていて改めてデザインに思う所などはありましたか?」
谷口
「キリッとしていると思いました。スタイリッシュで、おしゃれのカテゴリーというか?そう言う印象です。僕のやってきた路線ではなくて。」
谷口
「スペチャンのファンの方というのはもちろんうららのキリッとした面に親しんでいるんだから、それを損なうと、”こんなのうららじゃない”と思われるのを避けたく、とてもバランスに気を遣いました。そこはとっても気にしながら作っていましたね。どこまで自分の作風を使うか、難しい所でした。」
アンバランスと温かみ
宮部
「谷口さんは、最近多くの作家さんが取り入れているような、3DCGは使われないんですよね?確かCGモデリングはせず、手で粘土から原型を作られていますよね?手で作られている理由はありますか?」
谷口
「ああ、手で作った方が早いからね!スピードが速いからです、それが理由です。思った通りのニュアンスを表現するには僕はやはり手作業で作りたいかな。」
宮部
「例えばTOUMAさんの場合は、手作業でもCGでも思いのままに原型を作る事の出来るベテランですが、その辺りのご意見を伺えますか?」
TOUMA
「私はCGでも原型を作っていますが、CGというのはモデルが完全に左右対称に仕上がりますよね。便利な部分でもありますが、人工物っぽくなりすぎてしまう傾向があります。もちろん、キャタクターの方向性に合っていれば問題ないのですが。」
谷口
「ぼくは、アナログで作ってどこまでキャラを左右対称にしようかって頑張るから逆ですね。(笑)」
TOUMA
「キャラクターによっては、アンバランスさの妙が必要な時もありますから、そのぐらいが丁度よかったりするんだよね。自分の場合、本当にそこは注意して使い分けたり、仕掛けを施して、キャラクターが魅力的に見えるテクニックを駆使していますよ。」
ソフビの魅力
宮部
「さて、今回このインタビューを読まれている読者の中には、ソフビの事についてよく知らない、という方がいらっしゃるかもしれません。ソフビの魅力や特色について少しお話を伺えますか?」
TOUMA
「ソフビは、、機械で大量生産されるフィギュアとは違っていて、職人さんが過酷な環境の中で、一つ一つ成型しているんです。
なのでそれぞれ微妙に形が違ってきます。それは魅力の一つになっていると思う。塗装も同様で、一つとして同じものが無いといってもいい。素材のコンディションによって、ちょっとずれる、だとかね。ほぼ「ワンオフ※(1点もの)」状態なんです。その結果、他の製品には出しづらい”温かみ”が出るんだと思います。」
TOUMA
「また、世界にはソフビファンが大勢いて、ソフビじゃないと買わないという方が多い。例えばね、これは何の素材?と質問してきてレジン(※樹脂)ですと答えると買ってくれない、と言うことが本当に沢山ありますよ。」
宮部
「そうなんですか!レジンもフィギュア作りではポピュラーな素材ですけれど、、。お話を聞いていると、ソフビのフィギュアとは、アート作品に近いような感覚ですか?」
TOUMA
「うーん。。なんだろう、”1点もの”に近い存在なんじゃないかな?やわらかさ、とか、前述したように、一つ一つが微妙に違っている点などが。」
宮部
「とても面白いお話です。そういった、制作過程の事もお聞きした上で、改めて”うららソフビ”を手に取った方に楽しんで頂けると嬉しいですよね。本日は、谷口さん、TOUMAさん、貴重なお話をありがとうございました。」
告知コーナー

4月に新作を3点ほど出します!

谷口 亮 Twitter:

https://twitter.com/ryofute

4月に大阪でソフコンというイベントを主催します。
「ソフビコンベンション 第1回」2022年4月3日大阪「シーサイドスタジオCASO」

TOUMA HP:
https://potofu.me/sofuviconvention

TOUMA Twitter:
https://twitter.com/toumartcom

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Twitter:
https://twitter.com/spacesofubi

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